行政書士開業時に専門業務は決めるべき?理想の開業とは?

行政書士開業時に専門業務は決めるべき?
目次

行政書士の業務について

行政書士業務は大きく分けて3つの業務があります。

1.官公署に提出する書類作成(許認可手続き)

  • 建設業許可申請
  • 宅地建物取引業免許申請
  • 風俗営業許可申請
  • 産業廃棄物収集運搬業許可申請
  • 第3種旅行業登録申請
  • 特定非営利活動法人(NPO)設立認証申請
  • 古物商許可申請
  • 飲食店営業許可申請
  • 在留資格諸申請
  • 一般貨物自動車運送事業許可申請
  • 車庫証明、車両登録

上記は一例であり、このほかにも様々な書類作成・提出を報酬を得て行うことができます。

コロナ禍で話題になった給付金・補助金申請手続き

2020年に始まったコロナ禍において、経営が苦しくなった個人事業主や法人に対して、様々な給付金や補助金制度が作られました。

有名なのは「持続化給付金」や「飲食店休業協力金」などでしょう。

私は2020年末に開業したので、協力金・給付金・補助金業務をメインとして仕事をしてきました。

新人行政書士が仕事をとりやすく、手続きも電子申請で、他の許認可と比較して取り組みやすいものでした。

コロナが落ち着き、予算の大きな給付金などはなくなりました。このような業務は業界では「流行りの業務」「季節もの」「一時的な需要」と言われており、「このような業務だけに頼っていては、手続き自体が無くなったときに困ってしまう」とも言われています。

しかしながら、時代が変わっても、定期的に新制度は出てくるものなので、官公庁の発表にアンテナを張っていれば、新しく・ニーズが高い業務というのは常にあるとも考えられます。
常に集客し続ける手間はかかりますが、新しい制度の支援は、競合業者が少ないブルーオーシャンであることがほとんどなので、営業が楽になることもあります。

時代に合わせて需要のある業務を獲得しながらも、時代に左右されない安定業務の営業も並行して行っていくと、安定した事務所運営ができるのでは、と思います。

2.権利義務に関する書類作成

  • 遺産分割協議書
  • 内容証明郵便
  • 各種契約書
  • 離婚協議書

このような書類を行政書士は作成することができます。

しかし、行政書士は紛争に関わることはできませんので、遺産分割や離婚協議について争っている場合などは、弁護士の独占分野になります。

他士業の独占分野に繋がる可能性が高い業務なので、お客様から相談があった場合、紛争性がある場合は弁護士に、不動産登記が必要な場合は司法書士など、仕事を連携したり、引き継げるような人脈を築いておくことも重要です。

3.事実証明に関する書類作成

  • 議事録作成
  • 図面作成
  • 定款作成

会社運営に必要な書類などを作成することができます。

行政書士開業時に専門業務は決めたほうがいい?

行政書士開業時に専門業務って決めた方がいいのでしょうか?

答えは、「人による」だと思います。

おいおい、、、

そんなこと言ったら、何も面白くないですね笑

しかし、これには以下の3つの理由があります。

①田舎のやり方と都会のやり方はちがう

②自分がなりたい行政書士像次第

③とにかく食わねばならない

一個ずつ詳しく書いていきます。

①行政書士開業は田舎と都会でどう変わるか

田舎で行政書士開業をする場合=幅広い業務対応をすることが多い

私は長野県出身なので、長野県の行政書士の先生のホームページもチェックしていますが、かなり幅広く業務を載せている先生が多いです。

田舎では行政書士自体の数が少ないので、さまざまなご依頼をいただくことが多いと思います。

私の同期で東北地方で開業された先生方は、専門を絞らずに、幅広い業務を行っており、地域での人脈を着実に築いていらっしゃいます。

しかし、都会での開業であっても、地域を絞り地域密着型で幅広い業務を受任して成功されている先生もいらっしゃいます。

都会で行政書士開業をする場合=競合が多いので専門特化の必要がある

都会は行政書士の数がとても多いです。

同じレンタルオフィスに、いくつもの行政書士事務所が入っていたりします。

やはり、これだけ行政書士事務所が多いと、専門業務を決めなければ「人に覚えてもらえない」ということはあると思います。

都会では交流会や名刺交換会も毎日開催されています。そのようなリアル営業をする場合も「何の仕事をしている人か」短い時間で覚えてもらう必要がありますが、単に「行政書士です」と伝えても、一般の人には覚えてもらえません。

「建設業に関する許認可や書類作成をしています」

「補助金申請のお手伝いをしています」

など、一般の人にわかりやすい伝え方ができるほうが有利になります。

また、Web営業をする場合でも、インターネット検索上の競合が多いので、地域だけでなく専門分野で絞り込まないと、自分のページを上位表示させることができません。

このような理由から、都会で開業する場合は、専門業務を決める必要性が高い、といえます。

②なりたい行政書士像

開業時に「自分がなりたい行政書士」のイメージを考えるとよいです。

行政書士といっても色んな人がいます。

専門特化してとにかく効率化していきたいのか、

時代のニーズやお客様のニーズに合わせて幅広く活動したいのか。

組織化(法人化)して大きな事務所を経営したいのか、

一人事務所でマイペースでやっていきたいのか。

そういった自分の理想像によって、専門業務を決めるべきか決めないべきか、わかってくると思います。

①でも書きましたが、都会での開業であっても、地域密着で成功されている先生もいらっしゃいます。
ものすごくニッチな業務を選択し、全国からお仕事を受任している先生もいらっしゃいます。

まずは自分の目指す姿を具体的に描くことが、業務を決めるうえで重要になってきますが、なかなか理想像を描くことも難しいという場合は下記の手順で頭を整理してみてください。

自分の理想(行政書士事務所のイメージ)を描くステップ

1.やりたくないこと・嫌いなことを書き出す

例えば、対面営業が苦手であるとか、車や電車での移動距離が長いのは嫌、というようなことです。
できるだけたくさん、思いつく限り書き出してください。

書き出したうえで、嫌いのレベルを考えます。
できればやりたくないのか、絶対にやりたくないのか、というレベル分けをします。
「絶対にやりたくない」と思っていることは、どんなことであれ長続きはしませんので、それを避けた業務スタイルを選ぶ必要があります。

先の例のように、「車での移動が嫌い」とか「そもそも免許を持っていない」とか「ペーパードライバーであり運転するのは危険」という状態であれば、車庫証明や車両登録の業務をメイン業務とすることは非常にストレスがたまることになってしまいますので、自動的に選択肢から除外されます。

このような除外プロセスを繰り返すことで、残った業務からメイン業務・取扱業務を決めることがスムーズになります。

2.行政書士としてどれくらい稼ぎたいかを決め、ニーズと照らし合わせる

目標の売上・収入金額を考えましょう。
業務によって報酬相場が全く違ってきますので、自分が稼ぎたい金額にあわせて業務を選んでいくことも必要になります。

例えば、月商30万円を目標とした場合、車庫証明6000円をメイン業務とすれば、毎月車庫証明を50件獲得しなければいけません。開業地域が、車庫証明不要地域であったり、人口が少ない地域であれば、毎月50件の車庫証明を獲得することは不可能なので、メイン業務にはできません。
しかし、人口が多く車の所有が多い地域(都市部のベッドタウン等)であれば、車庫証明で月商30万円は現実的な目標になります。(例なので簡単に車庫証明のみにしましたが、実際の開業では車庫証明だけでなく、関連する車関係の業務もあわせて取り扱えば更に目標は達成しやすいでしょう)

同じく月商30万円を目標として、建設業許可をメイン業務とした場合、1件当たり約10万円の報酬であれば、毎月3件の獲得で目標を達成できます。

自分の目標額と、開業地域でニーズのある業務単価から、取扱業務を絞り込んでいきます。

3.憧れの先輩行政書士を参考にする

これが、最終ステップになります。

最初に憧れの先輩行政書士を参考にしてしまう人が多いのですが、それは間違いです。
一般的な理想像と、本当に自分に合った理想は違うことがあります。

キラキラ輝く理想の行政書士先生はたくさんいらっしゃいますが、安易に真似をするのは危険です。

例えば、スタッフをたくさん雇い、法人化している先生に憧れたとしても、
自分自身が社内コミュニケーションが苦手・ストレスという理由から行政書士開業を目指している場合は、
スタッフの雇用を現実的に考えられずうまくいかない、ということにもなります。


交流会などのリアル営業でおいしそうなご飯を食べている先生に憧れたとしても、自分自身が飲みの席が嫌いであったり、出不精な性格であれば、もちろん真似してもうまくいきません。

自分自身が何が苦手なのか、何にストレスを感じるのか、ということを最初のステップで明確化しておかないと、いつのまにか理想の中にストレス要因が混ざっており、それに気づかずなぜかうまくいかない、、ということになってしまいがちです。

しかし、どうしても自分を変えたい!憧れの先生に近づきたい!という強い意志があれば、苦手を克服したり、今まで楽しめなかったことを楽しめるようになることもあります。
そのあたりは、自分の思いの強さ次第だと思います。
単に、脱サラして自分や家族の食い扶持を稼げればよいのだ、と思っているのであれば、あえて自分を変える必要もないですし、自分に合った営業スタイル・取扱業務を選んだほうが効率がよいと思います。

また、憧れの先生の情報発信を見たりして、自分の売り上げ目標金額やある程度の地域ニーズを把握したうえで情報を取捨選択することがはかどります。
運よく、憧れの先生とお話する機会を得た場合にも、自分がやろうとしていることが固まっているほうが、具体的なアドバイスをいただける可能性が高いです。

③とにかく食わねばならない

食える、食えない=行政書士は稼げるか否か

という話は、大人気のテーマですが、

私自身は、行政書士で食えるようになるまでなんでもやるぞー、と思っていました。

専門業務を決めたとしても、営業をかけて仕事が取れないのであれば、すぐ次の業務に鞍替えしようと思っていました。

どんな仕事でもいいので、取れるまでやろうという気持ち。

専門分野で安定するまで、繋ぎといっては聞こえが悪いかもしれませんが、車庫証明などの比較的簡単な業務でも必死になって獲得しようと思っていました。

そのおかげで、開業して3か月目には、開業前の派遣社員やアルバイトの時の収入を超えましたし、1年目の売上は2400万円、2年目の売上は8700万円と、安定しております。

前述した通り、コロナ禍での開業でしたので、需要の高い業務があったおかげでもありますが、どのような時代に開業したとしても、その時々で行政書士業務の需要は必ずあります。

自分がやりたい業務を追い求めつつも、事務所を維持していくためにそれ以外の業務もやらないといけないことはあると思います。

そういう意味では、開業初期の段階で専門業務にとらわれすぎるのは良くない、ともいえますね。

私自身も、今現在は補助金支援業務が売り上げのほとんどを占めている状態ですが、補助金支援業務で売上を維持するのが難しいとなれば、別の業務をメインとして行うことも常に頭の隅に入れています。

行政書士開業時に専門業務を決めるべきか、まとめ

  • 競合の多い地域で開業する場合、専門業務を決める必要性が高い
  • 理想像を具体的に描く目標を明確化する
  • 開業初期は収入が安定するまで、どんな仕事でもやっていく必要がある

士業向けホームページ制作

これから開業する士業のために、安価で質の良い(検索効果が上がりやすい)ホームページ制作を行っています。

  • 専門業務がまだ決まっていない
  • どうやって取扱業務を決めたらいいかわからない

このような開業時のお悩みにもアドバイスをさせていただきながら、ホームページ制作を行います。

ご興味ある方は下記ページを見てみてください↓


https://nozaki-gyousei-office.com/lp/

行政書士開業時に専門業務は決めるべき?

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次